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2026/04/05 00:49 |
a01---君の僕と僕の君と
「じんや。」

柔らかく名前を呼ぶ声が好き。

「遊び行こーよ。」

ふんわりと笑う笑顔が好き。

「聞いてる?」

拗ねて尖らせる唇が好き。

「聞いてる。どこ行く?」

そう言って、腕の中にある髪を梳く。
すぐ近くにある頭に心地よさと少しの安堵。
二人でいるときは周りなんて見えていない。
そんなこと、いつものことで、それで構わないと思っている俺たち。

誰もいない放課後の教室でも、
人が賑わう休憩時間の教室でも、
いつもこんな感じ。

俺の腕の中にすっぽり収まり、それを当たり前のように感じるこいつがとても愛しい。

「かづる。」

静かに名前を呼ぶと、
静かに返事をする。

「なに?」

その唇から出る声が、すごく好きで。

「カラオケ行こっか。」

その声をもっと聞きたいと思う。

「カラオケいいね。行こ。」

カラオケなら、二人きりでずっとかづるの声を聞いていられる。
そう思っていたら、

「じんやの声好き。」

と、不意打ちの一言。
思わず言葉を忘れていると、更に追い討ちをかけるように、

「二人っきりで、じんやの声独り占めできるね。」

なんて、かわいいこと言っちゃって。
あぁ、もう…。

「不意打ちすぎる。」

狙って言ったわけではないことが分かってる。
だからこそ、やられた、と思ってしまう。
そんなこと言っちゃって。
ほんとにもう。

「かわいすぎ。」

なんて、思わず本音が溢れてしまう。
そう告げると、今まで以上に柔らかく笑って、

「じんやは、かっこよすぎ。」

なんて。
まったく、ほんとにもう。
こんなに俺を夢中にさせて、どうするんだろうと思う。
もう何度目のもうか分からないくらいに、もうを連発してる。
だって、もう。

「好きすぎる。」

抑えられないこの想い。
あぁ、こんなにも、―――。

「やめた。」

そう一言漏らすと、かづるは不思議そうな顔をした。
そして、俺に向かった顔は不安げな表情になる。

「やめた。」

再度同じことを言う。
やめた、やめた、やめた。
二度目の言葉で、やっとかづるが口を開いた。

「…何を?」

何をって、やめたんだ、やめた。

「カラオケ。」

カラオケ、行くのやめよう。
その方がいい。
かづるが理由を聞く前に、次の行き先を決めてしまえばいい。

「その代わり、俺んちにしよ。」

「じんやの家?いいの?」

恐る恐る聞いてくるかづるに心擽られる。
いいの、って聞いてくるけど、いけないわけないじゃないか。

「いいよ。なんで?」
「ううん、じんやの家行きたい。」

そう言ったかづるはやっぱりかわいすぎる。
どうしようもなくかわいすぎる。

「泊まってけば?」
「え、いいの?ほんとに?」

ほんとに、って。嘘でこんなこと言わないのに。
さっきからいいの、ばっかり。
お前こそ、いいの?
無防備に俺んち来たりして。
無防備に俺んち泊まったりして。
ほんとにいいの?
自分で言ったくせに、自信がないんだ。
この想いが、暴走してしまわない自信が。

「嬉しい。」

そんな中、かづるがふと呟いた。

「ずっと一緒にいられる。」

うん、ずっと一緒だ。

「寝る前も、寝てる間も、起きたときも、一緒にいられる。」

うん、一緒だ。
ずっと一緒。

「じんや。」

名前を呼ばれて、それに答える。

「なに、かづる。」

するとかづるは、
少し照れたように、
少しはにかんだように、
少し不安なように
小さな声で言った。

「添い寝、してくれる…?」

あぁもう、ほんとにもう。
かわいすぎる。

「添い寝でいいの?」

そう聞き返すと、かづるはさっきよりも照れたように、

「抱きしめて、寝てくれる…?」

と聞いてきた。
あー、もうもうもう。
抱きしめて寝てくれる?
なんて、かわいすぎる。
それを望むなら、いつでも、いくらでも抱きしめて寝てやるのに。
望むなら、ずっとずっと。

「抱きしめて寝てやるよ。」

そう告げると、優しく微笑んだ。
かわいい。
この笑顔が好きで、この笑顔をずっと見ていたいと思うんだ。
微笑んでいるかづるを柔らかく抱きしめて、肩に顎を置く。
そして、首に顔を埋め、肌と髪の匂いを胸いっぱいに吸い込む。
とてもいい匂いで、この匂いさえ、心地よく、好きだと感じる。

「かづる、好き。」

耳元で小さく囁くと、かづるは俺の頭を撫で、髪をゆっくりと梳いてくれた。

「俺も、じんや好き。」

かづるはそう言うと、俺の頬に触れるだけのキスをした。

ほんとに、好きすぎる。
今でさえこれなのに、これから先はどうなるんだろう。
これから先も、一緒にいたいな。
そう思いながら、今度は俺から優しく頬にキスをした。


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2017/06/12 19:39 | 創作BL / 秋吉と金橋

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